2019年9月26日(木曜)
コース:map
ひぜん湯登山口(11:00)~ 石ノ塔横(11:50)~ 女岳(13:00)
~山頂(13:30)~山頂(14:00)~ 女岳(14:20)~ひぜん湯登山口(16:00) |
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(1)小松地獄駐車場に到着
涌蓋山は、大分県九重町と熊本県小国町にまたがる標高1499.5mの山だ。
玖珠富士、小国富士とも呼ばれ、形が美しい。
北九州から三時間半で、筋湯温泉に着いた。
だが、公共駐車場が見つからず、少し離れた小松地獄駐車場へ車を停めた。
MとUに、平原を歩くと伝えていたので、二人共、しっかりと日焼けクリームを持ってきていた。
Yが、テレビ番組を見て知った、スティックをリュックと背中の間に挟んで持ち歩く方法を二人に披露した。
これが、後で悲惨な事になるとは、思わなかった。
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(2)筋湯温泉を通り抜ける
小松地獄駐車場から下って筋湯温泉へ歩いて行くと、途中に、探していた公共駐車場があった。
二人が「車、こちらに回します、私達ここで待ってますから」とチャッカリしたことを言う。
Yは、道連れだと言わんばかりに「帰り、一緒にこの坂道を戻るぞ!」と言って先へ進んだ。
温泉街に入り、公衆トイレを見つけ、用を済ますことにした。
扉を開けると、意外や、靴を脱いで上がらなければならなかった。
面倒だなと思いながら、靴の紐をほどいて上がると、畳の上は、横になっていいくらい、綺麗に掃除されていた。 |
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(3)登山入り口のひぜん湯駐車場に到着する
登山口の前に、有料のひぜん駐車場があった。
初めから、この駐車場に停めれば早かったのだが、普通車が四台しか停められず、満車の場合を考えて、少し離れた駐車場にしたのだった。
今日、駐車している車は1台だった。
奥の広場へ通じる橋は、小型車しか通れなかった。 |
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(4)ひぜん湯登山口
登山口の看板に、午後からの登山はやめるよう注意書きがあった。
ここから往復六時間を要するからだと書き添えていた。
Mが「えー、六時間もかかるんですか?」と驚きの声を上げた。
Yが「実際は、二時間もあれば頂上に着くさ」と気休めを言った。 |
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(5)谷川の水音を聞きながら進む
気温、十七度。
昨日より十度近く下がっていたが、おかげで気持ちよく歩けた。
左手には谷川が流れ、所々に防砂提が見え隠れしていた。
「水音セラピーというCDがあるくらいですから山の中で聞く天然の水音は物凄く体にいいはずですよ!」とUがダイエットへ話しを持って行った。 |
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(5)砂防提 |
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(6)薄日の射し込む熊笹の道
登り始めて間もなく、Uが、「平原はどこですか?」と、尋ねた。
Yは、せっかちな奴だと思いながら「もっと先の方だよ!」と吐き捨てるように答えた。
「水温セラピーを語るくらいなら鳥の声でも聞いて森林浴を楽しめ!」とYがつぶやく。
前を歩くMが笑っていた。
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(7)地熱発電所の煙
山道から発電所や温泉の煙が見えた。
涌蓋山は、数十万年前に火山の噴火で出来たそうだが、今でも、地下には熱源が走り、近くには、地熱発電所や多くの温泉宿がある。
M「早く、温泉に入りたいね!」
U「そうですね!」
Y「まだ、先は長いから、早くから楽なことを考えてると後でつらくなるぞ!」と登山の心得らしき事を言ってベテランぶった。
MU「おっしゃる通り」
Y、『今日はやけに素直じゃないか』と、満足気。 |
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軽快に歩くU |
果敢に登って行くM |
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(8)休憩コール
何度か休みながらスローペースで登ってきたが、ここに来て、Yは早くも心拍数が高まるのを感じた。
『どうも今日は体が重い。数日前の寝冷えのせいだろうか?ビールの飲みすぎだろうか?いやいや、多分、運動不足だろう。筋肉を付けるサプリメントを飲むだけじゃだめだな』あれこれ考えながら、先を行く二人に休憩の声を掛けようとペースを上げて追いつくと、既に腰を下ろして待っていた。 |
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豪快な飲みっぷりのM! |
やっと追いつくと、直ぐに歩き出す、せっかちな、U |
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(9)みそこぶし山が見える
八丁原コースの途中にあるみそこぶし山(1299.6m)が見えてきた。
八丁原コースは、八丁原地熱発電所近くの登山口から草原を歩く見晴らしのいいコースだ。
今日は、そのルートへ途中から合流する短縮コースを取った。
Yは、今日のコンディションを考えると、大正解だったと自分を褒めた。 |
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(10)広い草原となる
電磁反射板のある石ノ塔(1184m)の先に出ると、やっと涌蓋山が見えてきた。
二人共、遥か先を歩いている。 |
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かなたに筋湯温泉が見える |
二人共、待っていてくれた。そろそろYの疲労を悟ったのかもしれない。 |
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(11)小ピーク
涌蓋山を目にした後、小高い丘の小ピーク(1232m)が現れた。
ここは、まだ、距離にして半分程の所だが、見晴らしがよく、気持ちのいい平原だった。
二人とは、離れすぎて会話も出来なかった。 |
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(12)ピーク頂上から見える山は遠い
やっとMの姿が見える距離まで来ると、Mは頂上の先を見つめながら呆然としている様子だった。
ピークまで行って見ると、涌蓋山までは、まだ相当な距離があった。
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(13)ここで、アクシデント!
ピークを越え、平原を少し歩いた時、Yは、リュックと背中の間に挟んでいたスティックの一本がないことに気付いた。
先を歩く二人に声を掛けようか迷ったが、まだ、近くに落ちているかもしれないと思い、急いでピークまで戻った。
丁度、登ってきた登山者に尋ねるが、見なかったと言う。 |
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(14)合流し再び森の中へ
待っていた二人に追いつき、Yが、スティックを落とした事を話すと、二人共仰天した。
深刻になられても困るので、Uから、「増税前に買うべき登山用品は何がいいですか」と尋ねられていたので、「これで、俺も買うものが見つかった!」と冗談交じりに言うと、Uが「うける~」と手をたたいて喜んだ。
面白くもなかったが、これでスティックの発見を諦める決心がついたような気がした。 |
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(15)九重連山が見える
森を出ると、あちこちに遠くの湯けむりが見えてきた。
目の前には、涌蓋山の一角、女岳がある。
その先が涌蓋山、山頂だ。
遠くには、九重連山が白い雲の上に浮き出ていた。
晴れていればもっと景色もいいのだろうが、反面、日よけの雲があるから涼しく登ることが出来た。
今日は、涼しさに感謝することにした。 |
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(16)女岳頂上
涌蓋山手前の女岳に着くと、二人が待っていた。
女岳と涌蓋山の間には、ちょっとした峰が続いていた。
峰の両脇は谷となり、その先に小さく町が見えた。
ここから見ても、涌蓋山の傾斜の激しさがわかる。
普通だったらワクワクする光景なのだが、今日は、辛いトライになるだろうと覚悟した。 |
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(17)峰の中程
峰は、ほぼ水平に涌蓋山へ続いていた。
道には、白い穂を付けたススキが茂り、所々に見える松の木は青々と輝いていた。
その先に最後の難関がそびえている。
二人共、この景色を楽しんでいるのだろうかと疑いたくなる程、超スピードで進んでいた。
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最後の難関、涌蓋山の急斜面 |
振り返れば女岳からの道のり |
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(18)山頂にたどり着く!
休みながら、死ぬ思いで頂上にたどり着くと、涼しい顔をした二人がいた。
何はともあれ、平静を装いながら合流した。
天候のせいか、他の登山者は二人しかいなかった。
各ルートを示す看板は風で倒れていたが、それぞれの方向から登る道を想像すると、どれも興味を引いた。 |
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足元には、濃い青紫のリンドウの花が咲き、いくつかの花は、踏みつぶされないように、小石で囲んでいた。
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『広い敷物を持ってきた』と、Yが公言していたので、おもむろにリュックから引き出して広げる様子を二人凝視していたが、一人分の広さしかないのを見届けると、「なーんだ」と言いながら銘々の敷物を広げた。
Yも広げて見て驚いた。
(リュック大半のスペースに入れてきたのに)
食事を終えると、開口一番にYが言った。
「早く降りて温泉に行こう!」 |
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小松地獄駐車場から涌蓋山を望む、遠い! |
帰りに寄った小国町の日帰り温泉 |
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最後に
涌蓋山は、予想していた通り、眺望もよく、ひぜん湯コースは、変化に富んだ面白い道だった。
スティックの紛失では、自分でやっちまった過ちを二度と繰り返さないよう、確実な持ち物の装着を心がけて行こうと思う。
今回は、体力の衰えとは思いたくないので、やはり日頃の運動をかかさず、次の登山に備えたいと思う。
会社勤めの二人からは、毎回、高い山まで歩いたという達成感からだろう、「いいリフレッシュになりました!」と言う喜びの声を聴いている。
登山には、きつさと引き換えに、経験者しかわからない魅力があるはずだ。
これからも気負うことなく、体力の続く限り、山登りを続けて行きたいと思う。
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