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2019年10月23日(水曜)
コース:

『祖母嶽神社駐車場(6:50) ~ 工事車両に便乗(7:55)~ 一の鳥居駐車場(8:10)※ここから工事車両以外通行止め ~ 工事車両便乗 ~ 北谷登山口(8:20)』

北谷登山口(8:20)~ 風穴コース入り口(8:25)~ 風穴(9:25)~ ハシゴ場(10:25)~ 祖母山(11:00)~ 下山開始(11:40)~ 国見峠(12:30)~ 三県境(12:55)~ 北谷登山口分岐(13:30)~ 一の鳥居駐車場(14:20)
『~ 徒歩 ~ 登山者の車両に便乗(15:00)~ 祖母嶽神社駐車場(15:10)』
 
 
(1)登山口を目指すが、工事中だった!
北九州を午前2時に出発し、祖母山登山口のある高千穂町五ヶ所には、7時前に到着した。
予報では、夕方まで雨は降らないことになっているが、出来るだけ早く登山を開始したかった。
しかし、県道から登山口方面へ入ると、『工事中の為、登山口駐車場入車不可。徒歩可能。”一の鳥居”に駐車場有』と言う看板が有った。
出鼻をくじかれた思いだったが、近くの祖母嶽神社のことだろうと思い急いで引き返した。

(1)祖母嶽神社

(2)
(2)一の鳥居と思い込み出発する!
私は、ネットで工事中の情報を見ていたが、一の鳥居の場所は確認していなかった。
そして、一の鳥居から北谷登山口まで、徒歩で30分だと書かれていたことは覚えていた。
急いで準備をしていると、Mが、スマホで”一の鳥居”をアップしてこちらへ向けた。
そして「この鳥居と同じですか?」と尋ねた。
私は、今さら何をと言う気持ちで、見もしないで「間違いない!」と言い切った。
そして、波乱万丈の登山が始まった。
(3)のどかな山村風景を楽しみながら歩く
祖母嶽神社から、先ほど入って来た道を歩いて行くと、冷たい空気が気持ちよく、小学校の二階に並べていた案山子の人形が人に見えて驚いたり、ムカゴを見つけて採ったりして、『30分の遅れなんか、あっという間に取り戻せる』という余裕で、遠くの空模様が怪しいだけの空を見て、春霞がきれいだ、などと呑気なことを口にしながら歩いて行った。

(3)

(4)
(4)「北谷登山口4.3Km」の看板に驚く
20分程経った頃、先を歩いていたUが看板を見て「ここから4.3Kmって、ちょっと遠すぎません?」と声を張り上げた。
私は、スマホの地図で見てみたが、ネットで調べた30分の情報が頭から離れず、ロス時間を使ってまで駐車場に戻る気にはなれなかった。とにかく進む事しか考えられなかった。
この後も、二人が、広いスペースを見つけて、「車、この辺りに停めてもよかったんじゃないですか」と言ったが、今更、後の祭りなので、二人をなだめながら進んだ。
(5)工事車両から天の声
私は気休めに「あと、小倉駅から小倉南駅まで歩く距離かな?」と知ってる場所を例えて言うと、Uが「線路じゃないんでしょ、どの道を通るのですか」と細かく尋ねてきた。
掛け合いのような話しをして歩いていると、後ろから来た工事車両に声を掛けられた。
「登山口まで、歩いてるんですか?ここから相当ありますよ!荷台で良かったら乗せましょうか?」と言ってくれた。
天の助けとばかりに、お礼を言い、飛び乗った。

(5)

(6)
(6)北谷登山口まで送ってもらう!
途中、”一の鳥居”があり、車が数台か停まっていた。
工事の人が「登山者は、みんなここに停めてますよ!」と教えてくれた。
『ここだったんだ!』
Mがスマホで一の鳥居をアップして、「あっ、この鳥居と同じ!」と叫んだ。
ここから先はロープが張られ、一般車両は立入禁止となっていた。
工事車両は通行禁止を通り抜け、登山口まで送ってくれた。
帰りも五時にここに来たら乗せてくれると言う。
そんなに遅くまで山には居られないと思いつつ、有難い言葉に感謝し、お礼を言って別れた。
(7)登山気分への切り替え
アクシデントの後だけに、急に気分は変えられない。
今日は、中上級者コースと言われる風穴コースを歩こうと楽しみにしていたのだが、楽しみどころか、天気の心配の他に下山後の心配まで、しなければならない。
はっきり言って、山の中に放り出された気分だった。
しかし、ここで二人を不安にさせてはならないと思い、『五時前に降りて来たら工事車両に拾ってもらえるのだから、心配せずに進もう』と励ましたが、私が一番不安だった。
この後、Uが、神社の鳥居を間違えたことについて、私を攻め始めた。

(7)

(8)
(8)徒渉(川渡り)エリアに入る
風穴コースに入り、少し歩くと、『谷川あり』の注意書きがあった。
今日、天候で一番気になったのが、この川渡のエリアだ。
雨が降っていれば、行きも帰りも千間平コースを通る予定だったが、今日は、当初の予定通り、時間短縮にもなる事から、風穴コースに決めた。
途中、無理な場合は、引き返すことにする。
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Uが誤りについて語り出した。
U「MさんがYさんに鳥居の画像を見せた時、適当に答えてるなと思ったんです。
だいたいYさん、適当ですから!」
私も「そうさ、俺は前から適当だと知ってるだろう」と肯定して避けた。
(9)難なく、徒渉エリア通過
ここ数日、雨が降っていないので、水量は少なく、すき通った水が、大野川源流となって流れていた。
川には、固定されたロープもあり、安心して渡れた。
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誤りの話題は、続いていた。
私が確認するように「俺、Mさんに鳥居、確認してって言ったよね!」と尋ねた。
Mが素直に「それは気が付きませんでしたが、私がもう少し鳥居を見てれば良かったんですね」と直に答えた。
Uがまた「Yさんが適当すぎるんですよ!」と私を責めた。

(9)

(10)
(10)何度か徒渉を繰り返す
徒渉と言うより、川原の登山道と言うイメージだ。
よく転倒するMなので、谷川沿いが一番心配だったが、石は乾燥していて、一歩一歩、気を付けて歩けば、楽に進める。
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誤りの話題は続いた。時間があるのでいつまでも続く。
私がUに向かって「適当に答えたのを知ってて注意しなかった君が一番いけない!」と結論付けた。
Uは、呆れたように「それはひどいです!」と口を尖らせた。
(11)緑の苔が美しい
時折、日が差しこんで来た。
空気は冷たいが、日の当たる所は暑かった。
私がリュックに掛けていたタオルを取ろうと手を延ばすが手ごたえがない。
さっきの揺れるトラックで落としたのだと気付いた。
「タオル、トラックに忘れて来たみたいだ!」と、言うと、Mが指をさして「頭に巻いてるの、それタオルじゃないんですか?」とすました顔で言った。
無表情で言われると、つらいものがあるなと思いながら、振り向くと、Mが遅れて爆笑していた。
この間はなんだったのか?



(11)

(12)
(12)谷川の道が険しくなる
木や石に緑の苔が目立つ。
種類の違うキノコも多い。
祖母山は、山が深く湿度が高い。
先頭を行くUが、何度か立ち止まり、方向を尋ねて来た。
辺りを見回し、赤い布切れを見つけて進まないと、直ぐに迷う。
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Uに追いつくと「私達以外に神社を間違った人、いたのでしょうか?」と私に尋ねた。
私は「いたと思うよ、俺たちが間違ったくらいだから」と答えると、Mが意味あり気な表情で「微妙ですね!」と言った。
Uが手を叩いて笑った。
(13)風穴到着
人が入れるほどの風穴がある。
地下から涼しい風が流れているようだが、下に降りないと感じない。
M「熊でもいそうな洞窟ですね」
Y「熊は、九州にはいないよ。何かいると気持ち悪いからさっさと行こう」
風穴を右手に見て梯子を上り、先へ進むと、大きな岩に出た。
上の方から紅葉が綺麗だとUの声がした。

(13)

(14)
(14)ロープを頼りに斜面を登る
坂道にはロープが張られ、見た目より苦労せずに登れた。
このルートは、飽きることがない面白いお勧めのコースだと思った。
ちょっとしたアスレチックだ。
(15)紅葉の登山道
険しい道を上ると、紅葉した木々が多くなって来た。
U「この道、何合目の表示が全然ないですね!」
Y「確かに。ただ、帰りの千間平コースは細かく表示版が立ってあるよ」
M「そう言えば、風穴コースは、別のコースへ行く分かれ道ってなかったですね」
Y「多分、谷間のコースだから道が一本に絞られているんだろう」

(15)

(16)
(16)見上げれば五色のもみじ
頭の上には、美しいもみじのグラデーションが広がっていた。
束の間、現実を忘れさせてくれた。
誤りのことも。
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なのにUが誤りの話題を持ち出した。
U「工事中の看板、あんな手前に置く必要があったのですかね?」
意を得たりと思った私は飛びついた。
「そう、それ!通行止めの場所に置けば良かったんだ。駐車場もそこにあるんだから。一番の原因は看板だ!」
私は、責任が転嫁できればなんでも良かった。

篠笹が刈られて歩きやすかった(17)

U「天狗でも出そうですね」(17)

木の根っこがロープ代わり(17)

崖下は色づく木々で錦絵のよう(17)
(17)見事な紅葉が続く
急斜面有り、大岩有り、と変化に富んだ道が続く。
祖母山の紅葉シーズンは、10月中旬から11月上旬となっている。
今、まさに紅葉真っただ中だ。
まだ、青いもみじも沢山残っているので、これからしばらくは紅葉のシーズンが続くだろう。
この辺りから、祖母山特有の背丈程ある篠笹の道があると聞いていたが、道端は、全て刈り取られていた。

(17)

(18)
(18)ハシゴ場に到着
Uは、あっと言う間に、ハシゴを登って行った。
Mが恐る恐る登っている。
Y「M!、周りの景色を見ないともったいないよ!」
M「そんな余裕、ありません。一段目と二段目のハシゴの間がずれていて、注意しないと危ないんです」
Y「用心深い事はいい事だ。あなたは特にね!」
(19)崖上からの素晴らしい眺望
祖母山が、こんなに美しい山だとは知らなかった。
時折、日が差して来るが、遠くの山は白い雲に覆われていた。
日本百名山と言うだけあって、大きな山がいくつもこの山へ続いていた。
隅々まで見て回るのは、余程の経験がないと、むつかしいと思った。

(19)

(20)
(20)祖母山頂上へ到着
山頂には、三つの石碑があった。
この山には、神武天皇の祖母にあたる豊玉姫を祀っていることから祖母山の名前が付いたそうだ。
山頂で会った登山者に写真を撮ってもらった。彼は、岡山県から来ていて、十日程山歩きを続けるそうだ。修験者ではないかと思った。
彼から有効な情報を聞いた。
今まで、一の鳥居からは、北谷登山口を経由しないと通れなかったが、千間平から尾根伝いに一の鳥居まで登山道が出来ていると言う。
私も風穴コースの情報を話すと、帰りはそちらを回ってみると言っていた。
(21)天候の境目
山頂から見ると、東と西とで、天候が大きく違った。
私達が登って来た道は西側に当たり、晴れ間もあって、沢山の紅葉が楽しめたけれど、竹田市のある東側は、雲に覆われて何も見えなかった。
昼食は、「20分で切り上げるぞ!」と言っておいたが、ハイペースでの疲れもあり、結局40分かかった。

(21)

(22)
(22)千間平コースで下山
三県境(6合目)までは、急な下りや、長年の雨水で掘り返された溝が出来、歩きにくい道が多かったが、千間平に入ると、穏やかな道となり歩きやすかった。
単調な道のせいか、Uが、「眠たくなったからおぶってください」と言って来た。
冗談だったが、眠たさは本当のようで、少しペースを落として私が先導した。
(23)一の鳥居への登山道
ここを左に降りると、本来の登山道で、北谷登山口へ出る。
篠笹を切り開いた先が急遽こしらえた一の鳥居への登山道だ。
少しでも五ヶ所寄りに下山できる事を喜んで入ったが、傾斜が激しく、斜面を刈り込んだだけの所が多かった。
その為、Uは足の指に豆ができていた。
リバテープを渡したが、平坦な道に出れば大丈夫だからと言って、ポケットにしまって歩いた。

北谷登山口と一の鳥居の分岐(23)
   
 
因縁の『一の鳥居』(24)
(24)一の鳥居
一の鳥居には14時20分に着いた。
驚異的な速さだった。
登山者の車は三台残っていたが、人はいなかった。
いたらUだけでも乗せてもらうつもりだった。
一休みして歩き始める頃には、Uは元気を取り戻していたが、今度は、Mが疲れはてていた。
道いっぱいに広がって歩いた。
「車が来たら道の真ん中に土下座して『乗せてください』と言って頼み込もう!」などと話しながら車の通るのを期待して歩いた。
その内、Mが段々と遅れ始めた。
先に着き車を持ってくるしかないと思った。
40分程歩いた時、後ろからの車に声を掛けられた。
「1名の方が先に乗ってますので、乗りませんか!」
またしても天の声だった。
登山者は、熊本市内の方で、祖母嶽神社まで送ってくれた。 
 
最後に
北九州に居て、祖母山は、近くて遠い山だった。
最初に日程を決め、一週間前の予報は晴れになっていたので、本決まりにした。
だが、前日には、雨の予報に変わった。宿を押さえているので、もう変更は出来ない。
雨の降らない他の場所に変えようと探してみたが、九州全域が雨だった。
こうなれば、雨覚悟で祖母山へ登るしかないと決心した。
幸い、一時間ごとの天気予報を見ると、曇り空で、雨は夕方以降となっていた。
出足から、臨時駐車場を間違えるというトラブルはあったものの、山に入れば、道は変化に富み、面白く、紅葉を楽しみながら登った。
翌日は、朝から雨だった。昨日まで持ちこたえてくれた空に感謝した。
神社巡りをしながら、熊本、大分と抜けて来た。耶馬渓を通る頃、Uが、山の上に寄りたいコーヒー店があると言ったが、雨足が強まる予報だったので、次回、立ち寄る約束をし、真っすぐ北九州に帰った。
波乱万丈の登山だったが、振り返れば、思い出深い登山となった。
私は今回の誤りに深く反省している。
 
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