トップ>活動報告>久住山三俣山(お鉢巡り)

 
2021年10月28日(木曜日)
【コース】
大曲登山口(7:50)~ 諏蛾守越え(8:50)~ 三俣山西峰(9:20)~ 三俣山本峰(9:50)~ 三俣山北峰(10:40)~ 本峰南峰分岐(12:15)~ 西峰石積み(12:45)~ 昼食 (13:25)~ 諏蛾守越え(13:40)~ 大曲登山口(14:45)

(1)美しい雲海に遭遇する

九重町役場から山手へ入り、曲がりくねった道を上り詰めた峠に立つと、眼下には美しい雲海が広がっていた。
正面の奥に見えるのは涌蓋山、左手は筋湯温泉の方角だ。
早朝に北九州を出発した甲斐があったと、胸の内で小さくうなずく。

本来は3人で来る予定だったが、ひとりが急きょ来られなくなり、今日はUとの2人登山となった。
北九州の待ち合わせ場所の公園には30分前に着き、一人でぼんやり待っていたところへ、パトカーが来て職務質問を受けるという、なんとも波乱含みの出足だった。

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(2)沢山の車と同じく路上駐車となる

駐車場が満杯なのは最初から覚悟していた。
それでも、道路脇のわずかな空きスペースを見つけられた時点で、今日は幸先がいいと感じた。

大曲登山口へ足を踏み入れると、道端の草はまだ朝露をたっぷり含んでいた。
露除けスパッツのことが一瞬頭をかすめたが、草原はすぐに途切れるはずだと判断し、そのまま歩みを進めた。



(3)登山日和

鉱山道路に出た途端、斜面の向こうからまぶしい光が差し込んできた。
今日は雲ひとつない晴天で、まさに絶好の登山日和だ。

ただ、事前の情報では今年の紅葉はあまり期待できないらしく、そのことは車の中でUにも伝えていた。
Uは少し残念そうにしていたものの、深刻に落ち込む様子はなかった。
そもそも、今日どの山に登るのかすら知らずに付いてきているあたり、彼女の図太さというか、大らかさが出ていた。

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(4)多くの登山者達

紅葉が不調だという情報など気にも留めない様子で、登山者たちは次々と山へ吸い込まれるように歩を進めていく。
「秋は今しかない。紅葉なんて、現地で感じれば十分だ」
そんな声が聞こえてきそうな勢いで、みんな迷いなく登っていった。



(5)諏蛾守越えから三俣山を望む

途中、霜柱が立っているのを見つけた。
気温はかなり低いはずなのに、ここまで歩いてくると体がすっかり温まり、寒さはほとんど感じない。

休憩所には、団体登山者のにぎやかな声が響いていた。
その喧騒を背に、少し距離を置くようにして山道へと歩みを進めた。

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(6)眼下に硫黄山

急な斜面をゆっくりと登り切ると、硫黄山の背後に星生山が浮かぶように姿を見せた。
遠くの山々まで視線を伸ばしているうちに、自分がいま自然のど真ん中に立っていることに気付き、胸の奥から静かな喜びがにじみ出てきた。



(7)”西峰”近くの”積み上げ石”

なだらかな傾斜に変わり、西峰がいよいよ目前に迫ってきた。
右手には、このあと向かう本峰の姿もはっきりと見えている。

その先で、誰かが積み上げた小さな石のピラミッドが現れ、Uは夢中になってシャッターを切っていた。
思えば車の中でも、インドの預言者の話を持ち出して「コロナは11月に収束する」と熱弁していたが、彼女の独特の感性にはつくづく感心させられる。

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(8)西峰に到着

あの“諏蛾守越え”から見上げた、あの威圧感のある山頂が、いま目の前にある。
風はほとんどなく、頭上にはさわやかな青空が広がっていた。
ただ、長者原方面の低い谷には、白い霧のような雲がゆっくりと漂っている。

ひと息ついたら、次は本峰を目指す。



(9)本峰へ向かう道からⅣ峰を望む

三俣山には、本峰・西峰・南峰・北峰に加え、Ⅳ峰と呼ばれる小高い丘がある。
本峰へ向かう途中、そのⅣ峰の一部でようやく紅葉が色づいているのが見えた。
登山を始めてから初めて出会う紅葉だったこともあり、思わず足を止めてカメラを向けた。

(9)Ⅳ峰


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(10)本峰と南峰の分岐点

奥に見えているのが本峰、右手にそびえるのが南峰だ。
南峰へ向かうには、すぐ右手にあるⅣ峰を経由して進むことになる。



(11)本峰到着

西峰から本峰までは、思っていた以上に距離があった。
ここまで来て、ようやく行程の半分を終えたことになる。

あとは、“大鍋・小鍋”の紅葉の具合を確かめてから、お鉢巡りをするかどうか決めるつもりだ。

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(12)北峰を望む

祈るような気持ちで北峰に目を向けると、斜面の一部に紅葉らしき色がふっと浮かび上がった。
「これはもう巡るしかない」
胸の内でそう決めた瞬間、周囲の登山者たちも同じ思いなのか、下山ルートを探して慌ただしく動き始めた。

やがて見つけた下り道は、「危険、通るな」と書かれた看板の先に続いていた。



(13)垂直降下の道があった

確かに危険な道ではあったが、ここを通らなければ北峰へはたどり着けない。
ロープに身を預けながら、登山者たちと順番に慎重に下っていく。

途中、大きな岩がせり出した場所があり、その上に立つと視界が一気に開けた。
そこから眺める景色は圧巻で、思わず息をのむほどだった。
下の写真には、その大岩の一部が写り込んでいる。

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(14)上に見える岩から下りてきた

上に見えるのが、さきほど降り始めた本峰側の斜面だ。
崖のように切り立って見えるが、確かにそこには登山道が続いている。
頭上では、ドローンと思われる機械音がしきりに響き、静かな山の空気をかき混ぜていた。


(15)指山が見える

ここからは、指山からタデ湿原までの一帯が一気に見渡せた。
谷のほうには薄く霧がかかり、景色に静かな奥行きが生まれていた。
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(16)窪地に到着

窪地から眺める景色は、思わず息をのむほど素晴らしかった。
今年は紅葉が不調だと言われていたものの、ここ数日の気候が味方したのか、斜面には確かな色づきが広がっていた。
「昨年に比べると見劣りする」という声も耳にしたが、実際に目の前で見る紅葉は十分すぎるほどの迫力で、胸が高鳴った。
やはり、この光景は写真ではとても伝えきれない。


(17)大鍋がすぐ下に

大鍋の底へ下りる道もあったが、ここは予定どおり北峰を目指すことにした。
それにしても、山上にいくつもの峰が取り囲むこの地形は、どこか異界めいた雰囲気がある。
まるで、八百万の神々が集い語らった場所であっても不思議ではない――そんな気さえしてくる。
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(18)北峰に到着

北峰から小鍋へと続く斜面には、紅葉が帯のように広がっていた。
右下に見える窪地が小鍋で、その先へ伸びる峰は南峰へとゆるやかにつながっていく。
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(19)紅葉に酔いしれる登山者達

ここへ向かう途中、道に迷って声をかけてきた男性と再び出会った。
実はそのとき、私自身も“雨ケ池”方面へ進もうとしていたところで、彼に尋ねられたことで自分の間違いに気づき、この場所へたどり着けたのだった。
事情を話して礼を伝えると、男性は少し照れたように笑った。
そばでは、二人組の女性が相変わらずテンション高く、さっきまで岩の上から歓声を上げていた余韻をまとっていた。
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(20)歩いてきた北峰を振り返る

こちらから眺めても、やはり美しい。
Uに「紅葉の季節以外に、ここを回ろうなんて思わないだろう?」と聞いてみると、
「そんなことはありません。自然の美しさって、その時々にあると思います!」
と、まるでトリップアドバイザーの口コミのような返事が返ってきた。
――今日登る山の名前すら知らなかったくせに。


(21)小鍋を見下ろして峰を歩く

小鍋の底へ下りる道で休憩していると、南峰から来た登山者に「鍋底、行きました?」と声をかけられた。
体力と時間があれば行きたかったのだが、もう足がだるくて下まで降りる気力は残っていない。
残念だが「下りずに、そのまま南峰へ向かいます」と答えて別れた。
Uに「足がつりそうだ」とこぼすと、案の定、
「それはビタミンなんとかが足りないからです」
と、またしても何やらよくわからない栄養不足論を披露してきた。
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(22)下に見えるのは”坊がつる”

左手には、平治岳や大船山の姿が並んで見えた。
こちらのほうが平治岳よりも高い位置にあることに気づき、思わず驚く。
それにしても、見渡すかぎり、あちらの山々には紅葉の気配がほとんど感じられなかった。


(23)西峰近くの石積の場所に戻る

返りは南峰には寄らず、西峰へと戻ってきた。
以前、南峰から諏蛾守越えへ下った際に思わぬ遠回りになったことがあり、今回は迷わず元来た道を戻ることにした。
石積みの場所まで戻り、草の上に敷物を広げて腰を下ろす。
硫黄山や星生山を眺めながら弁当を広げる時間は、至極の時間だった。
食後、仰向けにゴロリと寝転んで体力を回復させていると、すぐ脇を数人の女性が談笑しながら下っていった。
Yが「ここ、通り道?」とつぶやき、Uが「じゃないですよねぇ」と返すやり取りが、妙に可笑しい。
ひと息ついたところで、我々も休憩を終え、下山の途についた。
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 最後に
今年は、紅葉のピークを読むのに本当に苦労した。
もしかすると、この秋は紅葉しないまま終わってしまうのでは――そんな不安さえよぎったほどだ。
日が経つにつれ、紅葉への期待はあきらめ、Uの休みと天候だけを頼りに日程を決めた。
一名の不参加は残念だったが、突然の用事は誰にでもあることで、責める気持ちはまったくない。

ところが、いざ山に来てみると、あきらめかけていた紅葉がしっかりと色づいて迎えてくれた。
思いがけないご褒美のようで、またひとつ忘れがたい秋山登山になった。
今年もコロナの緊急事態宣言が続き、外出を控える日々が長かっただけに、久しぶりに開放的な一日を過ごせた。
これからも体力をつけ、栄養をしっかり取り、足の不調も整えながら、また次の山歩きを計画していきたい。
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