トップ>活動報告>御前岳・釈迦岳

 
2026年3月13日 (金曜日)
(行動時間:5時間35分)
【コース】
杣ノ里登山口 (7:50) ~ 林道 (8:50) ~ 御前岳 (10:00) ~ 尾根道 ~ 釈迦岳 (11:30) ~ 釈迦岳レーダー基地 (11:45) ~ 釈迦岳登山口 (12:20) ~ 八ツ滝 (13:05) ~ 杣ノ里登山口 (13:25)
 

 
 
(1)杣ノ里登山口駐車場

日田市から高瀬川を上り大分県側の椿ヶ花スーパー林道を抜け福岡県側の矢部村へ入った。道を下り、やがて、秘境と呼ばれる登山口「杣ノ里(そまのさと)」に到着した。
駐車場は二段構造で、思いのほか広い。
こんなに登山者が来るのだろうかと一瞬首をかしげたが、入口にはスタンプラリーの案内が貼られており、イベント時には多くの人が訪れるのだろうと納得する。
駐車場の下は杣ノ里渓流公園と書かれていて、ヤマメ釣りや陶芸工房の案内板が立っていた。

(1)
 
 

(2)
(2)今日の工程を確認

渓流釣り場には興味をひかれたが、ここは気持ちを切り替え、まずは登山口に掲げられた地図で今日の行程を確認する。
最初に御前岳へ登り、そこから尾根をたどって釈迦岳の山頂へ向かう。山頂からさらにレーダー基地に立ち寄り、林道へと下りていく。そして最後は林道を歩いて駐車場へ戻る行程だ。
 
 
(3)登山口

車道を少し歩くと、立派な登山道が奥へとまっすぐ伸びている。上まで登って右へ折れると、そこからもまだ広く歩きやすい道が続いていた。そして、さらに進むと、右手に仏像を祀った小さな祠があった。
山の神様が宿っているようで、祠に向かってお参りした後、先へ進むと、道は急に細くなり、本格的な山道へと変わっていった。

(3)
 
 

(4)
(4)きれいな渓流の水

登山道は渓流沿いの道が多い。
水は山の上から下へ流れ、渓流を辿って行けば山奥へ入ることが出来るという自然の節理からだろうが、秘境と呼ばれるこの山では、とりわけ水の清らかさが際立って感じられる。
そして、ついヤマメはいないかと覗き込んでしまう。
 
 
(5)整備された登山道

道を進んでいくと、手作りの階段が現れ、思わずほっと息をつく。
行く手を示す看板も頼もしく見える。

(5)
 
 

(6)
(6)河原道

渓流に沿って道が奥へと続いている。
静かな山あいなのに、歩くたびに大小さまざまな石の姿が少しずつ変わって見え、どこか賑やかな気配さえ感じられた。
 
 
(7)杉林の道

道は何度か河原を離れて杉林へ入った。
まっすぐに伸びた杉の並びが美しい。

(7)
 
 

(8)
(8)手作りの橋

道は渓流をまたいで対岸に続いていた。
橋を架けるほどの水量でもないが、あればやはりありがたい。
 
 
(9)目を引く川底の色

歩いていると、右手には、やわらかく流れる水が目に入り、思わず足を止めて見入ってしまう。
なだらかな川底が、その穏やかな流れを生み出しているのだろう。
単調な山歩きの途中で、こんな小さな光景でも楽しめる。

(9)
 
 

(10)
(10)行き届いた道

途中、道が木の板で丁寧に補修されていた。
小さな川にも、橋がかけられている。
整備の行き届いた道は本当にありがたい。
 
 
(11)林道合流地点

何度か渓流を横切りながら登っていくと、急に視界が開け、林道へと出た。
前方には御前岳の姿が見えている。

(11)

 
 

(12)
(12)ここで道を間違える

左手にそびえる大きな砂防提の脇に、赤い布がちらりと見えた。
そこへ向かう道はなかったが、なんとか斜面をよじ登っていく。
しかし、たどり着いてみると、目の前の木には確かに赤い布が巻かれていたが、この先にはどこにもない。
途方に暮れるが、せっかく上まで来たのだからと引き返す気にもなれず、そのまま上を目指すことにした。
御前岳はさっき見えていたのだから、方向は間違っていないはず——そんなふうに自分に言い聞かせながら進むのは、いつもの負のスパイラルだった。
 
 
(13)正規のルートに出る

砂防堤の脇には道らしい道はなく、とにかく上を目指して進むしかなかった。
急斜面に足を取られ、藪の枝をつかんで体を引き上げるように進むたび、動くだけで体力がどんどん奪われていく。
何度も立ち止まって息を整え、ようやくの思いで正規ルートへ戻った。
これまでにも同じようなことを何度も経験しているのに、今回もまたこのざまである。
ところが、正規ルートに戻って歩き出すと、体は水を得た魚のように軽く、藪の中の苦労が幸いしたのか、嘘のように足が動いた。
人間とはつくづく面白いものだと、改めて思った。

(13)
 
 

(14)
(14)梯子とロープの道

山頂はもう目前だと思っていたのだが、道はまだ先へと続いていた。
それでも、このあたりから一気に視界が開け、展望がぐっと良くなる。
広がる景色を眺めながら、ゆっくりと歩みを進める。
疲れを感じる間もなく、景色に背中を押されるように登って行った。
 
 
(15)御前岳山頂

山頂からの眺めは素晴らしく、まさに山のてっぺんに立ったという気分だ。
ほかに登山者の姿はなく、山頂の気分を独り占めしているようで申し訳ない気さえする。
山頂には標高を示す表示板と道しるべの道標が立っている。
そして中央には、「景行天皇御遺跡」と刻まれた石碑が建てられていた。
日本書紀によれば、景行天皇がこの山(前山)を越えたと記されているという。

正面の表示板の右側が、いま自分が登ってきたルートだ。
これからは左側の道標に従って下っていくことになる。
その先は尾根へと続く道だ。



(15)
 
 

(16)
(16)シオジ原生林と釈迦岳への分岐

山頂を下ると、すぐ分岐を示す表示板が現れた。
左へ進めば、大分県側・高瀬川上流にある「シオジ原生林御前岳登山口」へと通じている。
私は右の道を選び、釈迦岳へ向かった。
 
 
(17)尾根を進む・・・

分岐を下り、左手の目印を確認しながらまっすぐ尾根を進んでいく。
しかし、しばらく進むと、窮屈なほど細い尾根が目の前に現れた。
一度立ち止まり、周囲を見回して他に尾根道がないか確かめる。
それでも、ここが最も高い尾根であることに気づき、納得するしかなかった。

(17)
 
 

(18)
(18)尾根と言えば尾根だが・・・

断崖絶壁の恐怖にムチ打ち、身をかがめながら先へ進む。
しかし、その先ではカヤノキが生い茂り、再び悪戦苦闘を強いられる。
遠くにはレーダー基地の鉄塔がかすかに見えており、方向は間違っていないと分かる。
それでも、これから先の尾根道は自力で切り開くしかないのかと、思わず恨めしい気持ちになる。
あれほど整備された道が続いていたのに、どうやらそれは御前岳までだったらしい。
「もう二度と来るものか」と、つい悪態めいた言葉が頭をよぎる。
 
 
(19)正規のルートに出る!

藪をかき分けて進んでいくと、やがて正規の尾根道が前方に見えた。
喜び勇んでルートに出ると、思わず笑みがこぼれ、この先、自力で道を切り開かなくてもいいのだという安堵感に包まれた。
気持ちが落ち着くと、どこで道を間違えたのか確かめたくなり、それ程進んでないはずなので、戻ってみた。
戻ると、分岐を下りてすぐの場所で見た目印のところに出た。
あの時、右下へ進めばよかったのだと気づく。
とはいえ、確かに間違えやすい場所だと改めて思った。
正規ルートには転倒防止の鎖まで設けられており、先ほどつぶやいた悪態を反省し、心の中で詫びた。

(19)
 
 

(20)
(20)快適な尾根道

道は平坦で歩きやすい。
ときおり視界が開け、そのたびに遠くを眺め、気持ちが晴れる。
場所によっては霜柱が残っており、朝の冷え込みの厳しさが想像できる。
道は時折り小さなピークを越えていき、そのたびに転倒防止の鎖が設けられていた。
 
 
(21)美しい木立と落ち葉

木立の道を歩いていると、空の青、木肌の白、緑のコケ、そして枯れ葉の赤が淡く交差し、ありのままの自然の姿がひときわ美しく感じられた。

(21)
 
 

(22)
(22)見えてきた釈迦岳の姿

これまで越えてきた小さなピークとは比べものにならないほど、異様に大きな山容が目の前に現れた。
――あれが釈迦岳か。
近づくにつれてその存在感が増してくる。
 
 
(23)長いロープ道

取りつきは、ロッククライミングさながらのロープ場だった。
ここを登れば高度が一気に上がり、
それだけ山頂がぐっと近づいてくる。

(23)
 
 

(24)
(24)来た道を振り返る

山肌にはところどころ雪が残っていたが、不思議と寒さは感じなかった。

登りながら、ゆっくりと眺望を楽しむ。
奥に見える三角形の山が御前岳だ。
あそこからここまで歩いて来たのだと、しばし感慨深く眺める。
 
 
(25)釈迦岳(本釈迦)山頂

山頂には釈迦像が安置されていた。
そばの温度計は5度を指していて、空気はひんやりとしている。
眺望は開け、ベンチも置かれていて、しばし腰を下ろしたくなる場所だった。

(25)
 
 



(26)
(26)釈迦岳レーダー雨量観測局

こちらも「釈迦岳」だが、ここには普賢岳と書かれていて、本釈迦よりも約1.5m高いという。
ここからの眺望は素晴らしく、阿蘇山や九重山、有明海まで見渡せるそうだ。
ただ、春は霞む日が多く、今日も遠景はぼんやりとしていた。
それでも、広場にはベンチがあり、周囲の山々の説明書きも整えられていて、気持ちのいい場所だ。
 
 
(27)大分県側へ向かう林道到着

釈迦岳を下って林道に出た。
この道は、朝、杣ノ里登山口に向かう時に通った道でもある。
山をぐるりと回って来て、あとはこの林道を下っていけば元の駐車場に戻れる。
林道はジグザグに続いているが、登山道は山を突っ切るように伸びており、八ツ滝と呼ばれる滝のあたりまでは一直線のコースだ。
ただし、その直線区間は全体の半分ほどで、そこから先は再び林道を下っていくことになる。


(27)
 
 

(28)
(28)なにやら緑の葉の生い茂る場所

御前岳に登る途中でも見かけたが、この辺りはさらに多くの葉が茂っていた。
はじめは水仙かと思い、花を探してみたものの、どこにも見当たらない。
そのまま歩いていると、倒れた看板が目に入った。
そこには、ここが「オオキツネノカミソリ」の群生地であり、花は七月中旬から八月上旬に咲くと書かれていた。
これだけの群生なら、花の季節にはきっと見事な景色が広がるのだろう。
ぜひ一度、その盛りの姿を見に来てみたいと思った。
 
 
(29)杣の大吊橋

登山口が目前に迫ったところで、ふと興味をそそられる吊り橋を見つけた。
入口は開いていて、誰でも渡れそうだったので足を踏み入れ歩いてみたが、途端にぞくぞくとした感覚が走る。
「あ、そうだ。自分は高所恐怖症だった…」と気づき、慌てて引き返して写真を撮った。
橋の長さは150m、水面からの高さは56mあるという。
2009年8月に完成し、杣ノ里渓流公園の施設として整備されたものらしい。



(29)
 
 

 最後に
釈迦岳には、昔、家族と登ったことがある。ただし向かったのは本釈迦ではなく、レーダー基地のある方だった。
私の出身が日田ということもあり、正月に前津江村の椿ヶ花まで車で行き、そこから歩いたのだが、道は平坦で距離もそれほど長くはなかった記憶がある。
特に印象に残っているのは、澄んだ空気の中、有明海までくっきりと見えていたことだ。

今回の登山計画では、大分県側のシオジ登山口から登る案もあった。
しかし、釈迦岳からの戻り道が不明瞭だったため、福岡県側の杣ノ里登山口から登ることにした。
さらに、当初はもう少し早い時期に登る予定だったが、前日にナビをセットしたところ、道が3月末まで工事中と分かり、やむなく延期していた。

今回は大分側から入り、帰りは福岡側の浮羽を通って戻った。
御前岳も釈迦岳も素晴らしい山で、縦走路も歩きごたえがあり、とても楽しめた。

ただ、今回も例によって二度ほど道を間違えてしまった。
これからはより細心の注意を払いながら、体力の続く限り山歩きを続けていきたい。
 トップ