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2023年6月15日 (木曜日)
【コース】
草千里ヶ浜駐車場(9:45)~ 烏帽子岳(10:45) ~ 阿蘇パノラマライン道路(11:30) ~ 杵島岳(12:15) ~ 草千里ヶ浜駐車場(13:30)

(1)幸運の雨上がり
今日は、阿蘇五山の中の、烏帽子岳(えぼしだけ)と、杵島岳(きしまだけ)に登る予定で、一泊で来たのだが、昨日の雨で、今日に延期していた。
だが、雨は朝になってもやんでいなかった。
このまま降り続くのであれば、カッパを着て登るしかないと覚悟した。
梅雨時期の登山だから、雨は想定内だったが、出来れば上がってほしい。
そんな思いが天にとどいたのか、草千里に向かう間に天気は回復していった。
日頃の行いがいいから晴れたのだ!、晴れたのよ!と、三人で自画自賛した。

今から目指す烏帽子岳が、草千里ヶ浜の先に見える。
近くには、噴煙を上げる阿蘇中岳も見えている。
これまでの登山とは違い、出発地点から既に素晴らしい景色の中にいる。
『もう、ここでよくない!』と、不謹慎な心の声がする。




(2)馬と草原
草原に入ると、一列に並んだ馬の姿が目に入った。
もう、二人のテンションは高まっている。
近づくと、男達が牧草を与えていた。
二人の方から「馬に乗りたい」と言う声がした。(気持ちはわかる。だが登山に来たのだ)
馬たちは、この後、草千里へ放牧され、観光客の目を楽しませてくれることだろう。
だが、私は「U、馬糞に気をつけろよ!」と言わざるを得ない現実があった。
(3)気持ちいい~
阿蘇は観光地なので何度も来ているが、草千里を歩くのは初めてだ。
まして登山など、思ってもみなかった。
この登山を思いついたきっかけは、烏帽子岳に咲くミヤマキリシマの光景をネットで見たからだ。
今回は、日程が取れなく、時期が過ぎてしまったが、花はなくとも、阿蘇の大自然に浸り、山歩きを楽しみたいと思う。

二人は、淡々とした足取りで歩いているが、感動の度合はつかめない。
ちなみに、今歩いている道は、乗馬クラブの道で、登山道ではない。


(4)後ろには噴煙を上げる中岳が見える
本来のコースは、駐車場から草千里に入らず、迂回するのだが、近道なので草原を横切っている。
それに、せっかく来たのだから、草千里を歩いて見たかった。
振り返ると、Uが、珍しく遅れている。
電話がかかってきたようだ。
こっちに来たので「職場から?」、と尋ねると「いいえ、母からでした。」と答えた。
「心配して、かけてきたのかい?」と聞くと、「母には今日来ることを話してません」とケロッと言った。
(5)本来の道に出る
迂回の尾根道に出た。
これが登山道だ。
ここから外輪山が見える。
ここに立ってやっと、高い位置にいるのだと気付いた。
ここは、海抜1000mを越えている。

昨日夕食の後、三人でトランプのウノをした。
Mはルールブックで、彼女がいないと進めない。
持参のワインを出すと「ワインは頭が痛くなるから、あまり飲みません」とUが言う。
飲まないのだと思ったら、少しずつ飲み始め、終わるころには、瓶が空になっていた。多分、U6,Y3,M1の割合だったと思う。
朝、Mに頭の具合を尋ねると「なんともありませんでした」と、昨日言ったことを軽く、くつがえした。


(6)次に登る杵島岳が見える
振り返ると、駐車場の白い建物の先に、なだらかな曲線美の杵島岳が見えた。
予定時間は、二つの山を合わせて、4時間。
晴れたとはいえ、雲の動きが早い。
なんとか雨に合わずに戻りたい。
(7)右には雲海、左に草千里
若ければ走り回りたいような所、それが口癖になっているこの頃だが、正にそんな場所だ。
遠くに烏帽子岳が見えるから、山に登っていると自覚できるが、目を戻すと野原を散歩している感じだ。
それから不思議な事に、あれだけ雨が降っていたのに、ぬかるみがない。


(8)雲海が素晴らしい
阿蘇は朝霧が有名で、雲海を撮りに早朝からカメラマンが来ると聞く。
今日は雨上がりで、雲海がよく見える。
ただ、気になるのは、雲の動きだ。
こちらにこなければいいのだが。

ここから見えないのだが、正面は熊本市内で、右手は、一度地震で壊れた新阿蘇大橋がある。
(9)カッコウの声
山に近づくと、カッコウの声が盛んに聞こえてきた。
カッコウは、大山でも聴こえていたので懐かしい。
スマホで録音していたらMが話しかけてきた。
停止。
聞くと、カッコウを見たと言う。
「あっ!今飛んだ。」
確かに、見ると、ハトぐらいの大きさの鳥が、二羽、飛んで行った。
ちょっとした感激だった。
Uにカッコウを見た話をしたが、ノーリアクションだった。


(10)怪しい雲がせまって来る!
振り返ると、いつのまにかこんなに遠くまで歩いていたのかと驚く。
だが、白い雲がこちらに近づいている。
雨雲でない事を祈る。
草千里にも雲がかかり始めていた。
(11)ついに雲に覆われる
頂上に近づくころ、雲に追いつかれた。
山の天候の変化の早さを目の当たりにした。
でも、雨雲ではなさそうだ。
足元は見える。
迷う心配はない。
スマホの電波も異状なし。
雲の中の山歩きも、また乙なものだと思い直す。
この後晴れると信じているからだが。


(12)山頂に到着
山頂には二つのピークがあり、下は霧に覆われているが、ここまで上がっては、こなかった。
すぐ横に『立野火口瀬(たてのかこうせ)』という案内板があった。
外輪山の切れ目の事で、カルデラ湖だったころ、そこから水が流れ出ていたそうだ。
現在は、白川となり、熊本市内を流れ有明海に達している。
条件が良ければ、有明海が見えるらしい。
(13)下りは違う道
霧が、早い速度で流れていく。
今、草千里は霧の中。
杵島岳に立つ頃には霧も晴れてほしい。
そこからの景色は絶景のはず。
中でも、お椀をかぶせたようなかわいい米塚が見どころだ。
私も見たことがないが、二人に米塚を見せて、喜ぶ顔を見たい。
というか、いつも疲れ顔で、喜んだ顔をあまり見たことがない。
今日は、杵島岳に雲がかかったり、晴れたりと、変化している。
まだ距離があるので、なんとも言えないが、タイミングを計って速度を意識して歩く。
そう思うのは、私だけなのだが。


(14)木の間を抜ける
こんなに木が茂る場所は、今日初めてだったが、直ぐに抜けた。
ミヤマキリシマの群生は多く、やはり花は終わっていた。
Uが、咲き残ったミヤマキリシマを見つけるたびに、立ち止まって教えてくれる。
面倒くさいが、一輪の花をカメラに収めた。
(15)ヤッホーと叫びたい衝動にかられる
草千里を取り囲むように歩いて来た。

右手には、観光用ヘリポートがあり、何機かが飛び立っていた。


(16)パノラマライン(道路)に出た
道路を渡ると、杵島岳への登山道となる。
杵島岳には、手前に小高いピークがある。
烏帽子岳1336.7m、杵島岳1326m、でピークは1225mだ。

道端に咲くアザミの花が、揺れながら生き生きと輝いていた。
(17)ピークに向かって登りだす
後ろに、パノラマラインが見える。その奥が烏帽子岳だ。

少し登ると阿蘇中岳が後ろに見えて来た。
ここからの景色も素晴らしい。
杵島岳には、まだ、雲がかかったり、消えたりしている。
早く着けば、上で雲の去るのを待てばいい。
ここからペースを上げる。



(18)ピークに着く
ピークには、二つのベンチがあった。
惰性で歩いてきたのか、二人、喜びの表情が見えない。
と、言うより、結構な速度で登って来たので、疲れているのか。
(19)登山者とすれ違う
奥に見えるピークから、ゆっくりと下りとなり、ヘアピンカーブがある。
そこにもベンチがあり、座って二人を待っていると、山影から10人くらいの団体が現われた。
そして一人が隣のベンチに腰を下ろしたので、「米塚、見えましたか?」と尋ねるが、わからないようで、首をかしげた。
すぐ後ろから来たガイドの女性が、「良く見えましたよ!」と、笑顔で答えてくれた。
ベンチの男性へどこから来たのか尋ねると、横須賀からだと言う。
遠くから来たのに驚くと、他に千葉から来た人もいると言う。
どういった団体か尋ねると、近畿ツーリストの団体客だと答えてくれた。
(20)杵島岳への急登を登る
ヘアピンカーブから道を外れ、真っ直ぐ山に向かう坂道を登った。
これは正規の登山道ではないが早く登りたいが為だ。
左の写真でもわかるように、急登だ。
Uは、相変わらず、健脚だった。
(21)杵島岳へ到着
二人、一息ついているところを標識の前に立たせるのも気が引けて、背景に入れた。
杵島岳は真ん中に、大鉢と呼ばれる大きなくぼみがあり、一周できる。
時期によると、草が伸びて、一周するのに苦労するそうだが、今日は難なく歩けそうだ。
北側が外輪山方面になり、米塚もそちらから見える。


(22)阿蘇中岳がよく見える
雄大な阿蘇山を見ながら、弁当を食べたかったが、今朝の雨からこんなに天気が回復しようとは思わなかったので、持ってこなかった。
この青空に免じて、よしとしよう。
(23)噴火後の大鉢
時間があれば、下に下りて見たくなるような大鉢。
ここは登ってこなければ、見れない景色だ。
直径は、500m程あるらしい。
この中に、小鉢があると言うが、見つけられなかった。
   


(24)往生岳(おうじょうだけ)
杵島岳の南側に見えるのが、往生岳。
三つの山が、のどかに並んでいる。
ここから往生岳までの登山ルートもある。

3月の阿蘇火祭りでは、大火文字焼きで、往生岳に火の文字を作り、阿蘇平野の本塚にも火の文字を作り、合わせて炎の字に見えるようにするらしい。
一度、見てみたい。
(25)これが、米塚だ!
これを二人に見せたくて、雲の行く手を見据えながら、来たのに、現われた彼女らのテンションは、今一のように思えた。
Uは、「駐車場のすぐ裏手の展望台からも、見えますよ」、なんてことを言うのだった。
私はこれが見れて大満足だ。


(26)大鉢を一周した。
見える景色の思いはそれぞれだけど、山の思い出は、仲間とくると共有できる。
過ぎていく日々の中で、いつか懐かしく思い出す日があるだろう。
(27)下り道には階段が!
帰りの道は、舗装や階段で整備されていた。
だが、階段は、足を痛めそうなので、草の中を下りてきた。
下りた先は、T字路になっていて、草千里方面と、来る時にベンチのあったヘアピンカーブ方面だった。
 

   
  (28)駐車場に到着
駐車場は、来た時以上に車が停まっていた。
全国旅行支援のクーポンをもらっていたので、店に入ったが、適当な品物がなく、帰り大観峰に寄ってお土産を買った。

 最後に
阿蘇は何度か計画したのだが、地震情報を聞いて日延べしていた。
今年は、コロナも解除となり、思い切って一泊登山を計画した。
考えていたミヤマキリシマの時期は逃したが、思いがけなく好天に恵まれて、素晴らしい阿蘇の大自然を楽しめた。
車で帰る途中には、土砂降りの雨となり、今日、山に登れたのは幸運だったと感謝した。
近くの山で、トレッキングを続けていたかいがあり、足腰の痛みもなく、順調に歩けた。
これからも日々の鍛錬を絶やさず、次回の登山に向けて健康を維持していこうと思う。
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